ヤマシロヤ模型製作Webコラム『オオゴシ*トモエのEnjoy Hobby!』は、ホビーの楽しさ、プラモデル作りの面白さを紹介するコラムです。みなさんもじょいほび!と一緒に楽しい模型ライフをはじめませんか?
【第7回 表面処理をしよう!の巻】
TEXT BY オオゴシ*トモエ
 
第7回では、表面処理を行います。

第4回で決めた、じょいほび!作品の目標、
世界一美しいウィングガンダムVer.054を実現するため、
塗装前に念入りに下地作りを行います。

目標とする美しいツヤを出すためには、塗料の選択や、
トップコートなどでツヤを出すことなどもポイントですが、
下地を滑らかにしておくことも重要になってきます。


表面処理は、やらなくちゃいけない必須の作業というよりも、
「時間をかけてやってあげたほうがいい作業」
という意味合いが大きいかと思います。
製作目的によって作業のボリュームを決めましょう。
 








表面処理ってどんな作業?


『表面処理』というなんだか耳慣れない言葉が出てきましたが、簡単に言うと、
パーツの継ぎ目を消したときにできたヤスリ跡や、
キズ、ヒケやゲート跡をキレイにするなどの、
パーツ表面の下地作りの作業の総称です。

そう考えると結構作業範囲が広いですよね。

 
 

ヒケってなに?

ぱっと見た感じ、滑らかに見えるパーツ表面ですが、実は微妙なへこみがあったりします。

キットの成型上どうしてもできてしまうへこみを
ヒケといいます。

パーツを裏返すと、
スナップフィットキットのパーツの裏側には、
突き出しピン(ダボ)やダボ穴などがあります。

このようなダボ穴などの裏、
プラスチックの厚みがある部分
ヒケはできやすいのです。

 

あ、でも凹みといってもそんなにたしたものではありません。多分、最初にガンプラを作った人はわからないんじゃないかなと思うくらいのかすかな凹みです。


キズや継ぎ目は目に見えるけど、
ヒケってすこし見えにくいですよね。


パーツにざっとペーパーをかけてみると…ペーパーがけする前は分からなかったヒケが見えてきます。

下の写真の矢印が指している部分がヒケです。
へこんでいる部分はペーパーがあたらないのでキズがつかずツルツルしたままです。


こんなふうに見ると、「あ、確かに…」と思いますよね。

このへこみをペーパーなどで削って平滑な面を作ってあげる作業が表面処理なのです。

ペーパーがけってぜったいやらなくちゃいけないの?
ヒケはゼッタイ消さなくちゃいけないの?


では、上記でお見せしたヒケが、どんな悪影響を及ぼすのでしょうか?
気にならない人は見なかったことにして、スルーしちゃってもぜんぜん問題なしです。

では、なぜじょいほび!では念入りにペーパーがけをするのかといいますと、
作ろうとしている作品は、ツヤありのグロス塗装が前提なので、
少しの凹みやキズなども目立つ可能性があります。

滑らかな表面にへこみがあるとそこだけ妙に目が行ってしまいませんか?
ツヤがあるものの表面のキズやへこみは、光のあたる角度によってとても目立ちます。


たとえるなら、車などのツヤツヤしたものの場合、キズやへこみがあると目立ちますよね?
女性の場合はマニキュアを塗った直後の爪に、
キズがついたとき「んぎゃー!」ってなるあの気持ちです(笑)
その「んぎゃー!」を防ぐための作業表面処理なのです。


個人の「これでいいじゃん」という基準によって変わってきます。
そして、やっていて楽しい作業、苦痛になる作業も個人差があります。

表面処理って面倒…苦手かも…と思ったり、制作意欲をそがれたりするくらいなら、
思い切ってやらなくてもよいと思います。

オオゴシ個人の意見だと、
模型製作において「絶対やらなきゃダメ!」なことは
基本的にないと思っています。


実際、完成後にヒケがそんなに目立つか?と言われたら、
よっぽどじゃないと見えないと思いますし、
「ああ、ここにヒケが残ったままだった」と思う失敗感は、
完成させて、全体をしっかり鑑賞して、
はじめて分かるものだと思います。

「もっとこうしておけばよかった」という気持ちを次の製作に生かすためにも、
とにかく完成させることが大事なんじゃないかな?と思います。

そんなわけで、もしも表面処理はやらなくていいや!と思っている方がいたら、
これからの記事は、いつかツヤあり塗装をする時の参考に読んでくださいね。

継ぎ目を消したときにできたキズや、
パーツの表面のヒケやゲート跡を消していくため、
パーツにペーパーをかけていきます。

ペーパーは一枚だとぺらぺらしているので、
角(エッジ)などを丸くしてしまうことがあります。
二つ折り、または三つ折りにしてつかうと、
硬さもちょうどよく、使いやすくなります。

指でしっかり固定して、あまり力を加えず、
表面をなでるようにやさしく磨いていきます。

ペーパーがけってついつい力が入ってしまいがちですが、力を加えると削りたくない部分を削ってしまったり、エッジ(角の部分)を丸くしてしまったりします。
 
 
ちいさなパーツは?

小さなパーツは、このようにクリップではさみ、
手で持ちやすくすると、
ペーパーがかけやすくなります。

粉がついていると、ヒケが見えにくく、
ペーパーがけがどこまでできているか、
分からなくなったりするので、
時々粉を払って、表面を確かめましょう。
 
 



400番は、継ぎ目などを消したり、
表面を整えたりするのに使用
します。

600番は、400番をかけたときにできた
パーツ表面のキズを消すのに使用
します。

800番はさらに表面を滑らかにするために使用します。


あまりパーツにキズをつけたくないからとか、
ペーパーを何枚も買いたくないからという理由で、
いきなり800番のペーパーをかけると、
ヒケが消えなかったりして、
あまり意味のない作業になってしまいます。

それどころか、削れなくてつい力を入れてしまい、
エッジを丸くしちゃうことも!

オオゴシは経験から、最初は400番および、
金属の棒ヤスリなどの結構粗めのもので、
ばちっと形を出しちゃいます。

それから、そのキズを消すために、600番、800番のペーパーをかけるようにしています。

1000番以上はツヤあり塗装の時に、
ダメ押しの気持ち(笑)でかけます。

余談ですが、ペーパーがけと歯磨きってついつい力が入りません?ワタクシ、気がつくとつい力を入れてしまっています。


ハセガワ
スグレモノ工具
レーザーファイル
525円(税込)

タミヤクラフトツール 
ベーシックヤスリセット
630円(税込)
プラスチック用の金属のヤスリ、棒ヤスリで、
平面を出す方法もあります。
棒ヤスリの使い方


棒ヤスリの持ち方は、
グリップ部分を握って持つのではなく
上や横の写真のように、
ヤスリの真ん中あたりを人差し指で支えて、
しっかり持ちます。


削っている時にヤスリがずれないようにしっかり持ち、ヤスリはパーツに平行にあてます。
ヤスリの動かし方は、押す際に削り、
引くときはパーツから離します。
押す時にしか削りません。
 
 
金ヤスリは切削力(一度削れる量)が大きいので、使いこなせるようになるまで、かなりの時間と経験が必要だったりします。
オオゴシもつい最近まで棒ヤスリ苦手でした…

削りたくないところを削ったり、ヤスリの角で削ったりすると、パーツに深いキズをつけてしまうこともあります。
オオゴシも慣れないうちはよく失敗しました。



失敗をしないためにも、1回削ったら、削った面を確認しながら調整していくことが大切です。

そのため、確認しやすいようにスタンドや窓に近い、明るい場所で作業するようにしましょう。
 
 
棒ヤスリのお手入れ

パーツを削ると、ヤスリの目に削った粉が入り込みます。

そのままにしておくと、削れなくなってしまうので、こまめに掃除しましょう。

掃除の仕方はヤスリの目の間に挟まった粉を歯ブラシなどでかき出します。
このとき歯ブラシでゴシゴシ無造作にこするのではなく、目に沿って動かしましょう。


結構豪快に粉が舞うので、
写真のようにゴミ箱の上で掃除してくださいね。

一つのキットの中には、いろいろな形状のパーツがあります。
平面の多い、四角いパーツもあれば、丸っこいパーツもあります。

ペーパーさえあれば、どんな形のパーツにもほぼ対応できるのですが、
コツが必要だったり、技術や集中力が必要だったりします。
オオゴシも作り始めた頃はよくエッジを削って失敗していました。

さまざまな形のパーツを形に合わせてキレイに仕上げるためには、
パーツの形に合った道具を使用するのも、
失敗しないための一つの方法だと思います。

そこでより快適に作業するための
パーツの形状に合った便利グッズをご紹介します。
 

スリーエム スポンジ研磨剤
各種 420円(税込)

サテライトツールス
 絶対プラモヤスリ タイラー
各種 294円(税込)
柔軟性のあるスポンジヤスリは
丸いパーツにきれいにフィットしてくれます。

 

平面をキレイに削れて、なおかつキズがつかない、棒ヤスリとペーパーのよさをあわせた便利アイテムです。
 

今回の作品の場合は、ツヤあり仕上げにするので、
1000番までペーパーをかけることにしました。
しかし、この業面処理の作業は、
時間をかければよいというわけではありません

仕上げにあった作業を効果的にすることが、
結果につながる作業だと思います。


ダラダラやって集中力がなくなると、
パーツの角を削ってしまったりなど、
失敗も多くなりがちです。
模型製作の本に書いてあるからやるのではなく、
目的をもって作業するようにしましょう。


つや消し仕上げにするのであれば、
接着した箇所の継ぎ目を消すだけで十分ですし、
半ツヤ仕上げだと、600番から800番のペーパーを
ヒケが気になる箇所にかければいいと思います。

仕上げによってゴールを設定しましょう。
 


完成後にヤマシロヤに展示することも考えて、
付属のベースもしっかり作ることにしました。
本体のパーツと同じように、継ぎ目を消して、
ペーパーがけしていきます。

 

オオゴシは1000番のペーパーをかける時は水研ぎするようにしています。

洗面器などに水をはり、同じようにペーパーがけしていきます。このとき水の中に台所用の中性洗剤を数滴混ぜるとペーパーのすべりがよくなります。

水研ぎのメリットは、
ペーパーの間に入った粉が、水で洗い流されるので、ペーパーの持ちがよくなること、
パーツを磨く時に生じる摩擦熱を抑え、パーツを滑らかに研ぐことができること、
削った時の粉が飛び散らないことなどです。

そのかわり、パーツが水にぬれるので、パーツのヒケや削り具合が分かりにくくなります。

 

水研ぎは感覚的には削るというより、
仕上げに「研ぐ、磨く」といった意味合いが大きいような気がします。

400番やキズを消す600番の時などの、パーツの形を出す作業、表面をよく確認しなければいけない作業の時は水研ぎではなく、そのまま削った方が分かりやすいかもしれません。
 
 

仕上げにパーツを洗います。

横の写真のように、ペーパーがけをしたパーツには
削った時に出た粉や、組み立ての際についた手の油分離型材が付着しています。


粉や油分をそのままにしておくと、塗装のときに悪影響が出ることがあります。
そこで、洗面器に水と中性洗剤を入れ、
歯ブラシなどでパーツの裏側削った面などについた粉を洗います。


中性洗剤や粉が残らないように、
しっかりすすぎます。

このとき、小さなパーツを流してしまわないように
注意しましょう。↑経験あり。
水を切ったらザルなどに入れて、
水分が完全になくなるまで乾燥させます。
 
くじけそうになった時は見学に来てくださった方と
お話してリフレッシュしました。
プロモデラーのかいんさん、
パーツのチェック中です。
この後、アドバイスもいただきました。
発売直後だったアッガイに浮気しそうになりました。誘惑に勝てずに買っちゃいました…。

他にも、リラックマに会いに行ったり、
ガチャピンに会いに行ったりしました。
じょいほび!スタッフのつぶやきブログ参照
ダイジェストでお送りしましたが、作業時間はお忍び作業を含めて、15時間ほど費やしました。(あくまでも目安です)

洗ったパーツは、次の作業公開の日まで約2週間、じっくり乾燥させます。

通常、夏だと一日、冬だと2、3日乾燥させます。
乾燥時間が短いと、パーツの裏や隙間に水が残っていることがあります。しっかり乾燥させましょう。


 


プロモデラーのかいんさんが、じょいほび!の作業公開を見学に来て下さって、ペーパーがけの様子をじっくりみていただいたりしました。キャ!はずかしい!!セキララ!!

製作中のパーツを見られるのってすごく恥ずかしくないですか?言い訳できないっていうか…パーツは素直っていうか…(汗)手を抜いたら一目で分かってしまいます。でも、ここでいただいた意見はスキルアップにつながるので、素直に受け止めます。あ、でも、大目にみてください。


 


作業中 くじけそうになったり、現実逃避をしたりしました。蝶々を追いかけてどこかにいきそうにもなりました。
なんでツヤあり塗装を選んだんだろうと、ちょぴり後悔したりもしました。


その頑張った証が出るのは、次の下地や塗装の作業なのですが…もちろん、手を抜いた証もはっきり出ます。キャー!


次回は表面処理の仕上げ、
塗装の下地剤サーフェイサーを吹いていきます。

【じょいほび!第8回】
サーフェイサーを吹こう!の巻 に続く!
(C)創通エージェンシー・サンライズ
 
 


 
 
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