ヤマシロヤ模型製作Webコラム『オオゴシ*トモエのEnjoy Hobby!』は、ホビーの楽しさ、プラモデル作りの面白さを紹介するコラムです。みなさんもじょいほび!と一緒に楽しい模型ライフをはじめませんか?
 
【ガレージキット(レジンキット)製作編 第5回フィギュアの塗装をしよう!その1
メイクさんとコラボ!フィギュアの顔のベースメイクの巻】


Text by Tomoe*Ogoshi
Cooperation by Satoko Nishida
 
軽音堂・臼井政一郎さん作のガレージキット(レジンキット)
『チョコレート工場長』の製作コラムも5回目。

今回からやっと、やっと塗装に入ります……長い道のりだった。

フィギュアを作るせっかくの機会なので、
女性ならではの提案や、じょいほび!らしい、
面白いことができたらなぁ〜と考えていました。

このフィギュアは顔メインなので、
塗装というより、お化粧感覚に近いのでは?と思い、
プロのメイクアップアーティストさんにご協力いただき、
フィギュアを塗装してみようということになりました。


果たしてどのような仕上がりになるのでしょうか?
 


アドバイスをお願いしたのは、公私共にお世話になっている、
ヘアメイクアーティストの西田さん。
キャリア10年以上の心強いアドバイザーです。


まずは、じょいほび!作業公開前に打ち合わせ

メイクさんはフィギュアをみながら、
オオゴシはメイクさんが用意してくださった、
ファッション誌などの資料をみながらイメージを固めます。
 

前回の作業はここまで。

プライマー(サーフェイサー)を使用し下地塗装したキット。
ここまでの過程はこちら→コラム第4回


プライマーは肌色タイプのものを使用しました。

メイクさんのアドバイスをいただきつつ、
フィギュアの顔を塗装していきます。


最初は顔の立体感をつくるベースの塗装。

色味が微妙に違う肌色でグラデーションをつけたり、
パール塗料で立体感を表現します。

 




まずは塗料選び

ホンモノの化粧品を使うわけにはいかないので、
模型用の塗料を中心に使用します。

ヤマシロヤスタッフ玉さんにも
アドバイスをいただきつつセレクトします。
 


Mr.カラー 税込¥126 GSIクレオス


Mr.カラー パール 税込¥157 GSIクレオス


今回選んだ色は、フレッシュ系が中心のカラー。


Mr.カラー51 肌色(フレッシュ)(左)
Mr.カラー111 キャラクターフレッシュ1 (中央)
Mr.カラー112 キャラクターフレッシュ2 (右)


以上の塗料に、Mr.カラー1 ホワイト(白)を混ぜて
使用します。



今回の製作ではツヤも重視!ということで、
パール塗料も使用します。

Mr.カラー151 ホワイトパール 
Mr.カラー153 レッドパール 


オーバーコートしたり、塗料に混ぜて使います。
 
最初は塗料皿に各塗料を出して、
メイクさんともども色の確認から行いました。

メイクで使用するファンデーションの色に近い色を、
調色して作ります。

肌色塗って、白っぽい肌色でハイライト入れて終わりでしょ?
と思っていたら大間違い!


この後、たくさんの工程が待ち受けていました……



肌色の塗装スタート

まずはベースの塗装から。

メイクさんの指示に従って、
色を作ったり、エアブラシで塗装します。


仕上がりの目的によって、
塗装する色も、工程も違うと思いますが、
じょいほび!ではこのような作業を行いました。

 





肌色の塗装 工程1 ベース



最初に塗装するのは、Mr.カラー51 肌色と、
Mr.カラー153 レッドパール を、
5:1くらいの割合で混ぜた色です。

←健康的な肌色といった感じ。



この色を首、耳などを含め、顔全体に塗ります。


左の写真の白く囲んでいる部分、

・おでこと鼻筋のTゾーン
・目のまわり
・あごの中心
・のどの出っ張っている部分
・デコルテライン


は、他の場所に比べて薄めに塗装します。
 

肌色の塗装 工程2 ベース

続いてハイライトをプラスするための工程。

Mr.カラー111 キャラクターフレッシュ1
Mr.カラー1 ホワイト3:1くらいの割合で混ぜ、
先ほどよりも明るめの肌色を塗ります。

今回はパール塗料などは加えず、
色の差のみで立体感を出します。

左の写真の色のついている部分に塗装します。

・おでこと鼻筋のTゾーン
・目の下
・まぶたの一番高い部分
・あごの中心
・のどの出っ張っている部分
・デコルテライン


前回の塗装の際に避けていた場所を中心に塗ります。
自然なグラデーションになるよう心がけます。


特に意識するのは鼻の先端。
一番高い部分にしっかりめに色を乗せます。

 
ここまでの仕上がりはこちら。
鼻筋、あご、首などに、
ちゃんとグラデーションがかかっていますね。


右の写真の顔のアップ↑

まだまだこの先も肌色との格闘は続きます。

 


肌色の塗装 工程3 ツヤをプラス

続いては、パール塗料を使ってのハイライト。
先ほどの色の差だけでなく、
パールのツヤのハイライトも加えていきます。

Mr.カラー151 ホワイトパールを、
薄めに希釈して塗装します。

左の写真の白い部分を意識しながら
塗装していきます。

塗料を薄く乗せたほうがいい部分
・首の一番高い部分
・目の下、目じり側

塗料を普通に乗せる部分
・まぶた全体
・眉の外側の端
・鼻筋
・頬の一番高い部分
・あごの一番高い部分

塗料をしっかり乗せたい部分
・目頭
 

場所によってふわっと乗せた方がよい部分と、
しっかり乗せた方がよい部分があります。


色をつけるというよりは、ツヤを塗るという感覚です。
明るい場所で、ツヤを確認しながら塗装します。


目頭は特にしっかり!
「目ヂカラ」度合いが違います!Byメイクさん

ホワイトパールを塗装した状態。
先ほどの色の差で表現するハイライトとは違う、
ツヤの差のハイライトもプラスされました。


左の写真のアップ↑
違う角度にすると、パールが光ります。

まぶたと目頭、それに頬などに光を入れることで、
艶っぽさや生っぽさがでてきました。


明度の差だけではなく、
パールのツヤをプラスすることで、
さらに印象的になります。Byメイクさん



肌色の塗装 工程4 影の表現

これまでの工程では、
明るい色を塗装してきたのですが、
今度は影色で立体感をつけていきます。

Mr.カラー112 キャラクターフレッシュ2
Mr.カラー19 サンディブラウンをすこし混ぜ、
影色をつくります。

横にあるのは工程1で塗ったベースの色。
左の写真の茶色で塗った部分に塗装します。

・おでこと帽子の境目
・頬(耳の横からあごにかけて)
・まぶたのくぼみ
・あごの下(影になる部分)


頬は、耳の横を始点にあごに向かって塗装します。

あまり色を乗せすぎると、クドイ印象になるので、
1回塗装したら手を止めて様子をみるのがポイント。
工程3の写真と比べると、影が入って、
顔の立体感が増しましたね。全然チガウ!

メイクさんは普段は筆を使って、
粉を乗せることで表現しているのですが、
今回はエアブラシでの塗装。

あまりはっきり差をつけないように、
ふわっと乗せることを心がけます。

このように影をつける作業を、メイク用語で
シェーディング「shading」といいます。
Byメイクさん
 


肌色の塗装 工程5 メタリック


上の工程で表現した立体感に、
さらに色やツヤの情報量をプラスします。

ここからは基本的なというよりお好みで…という作業。

メイクさんが選んだ塗料はなんとメタリック
冒険だよ、間違えるとくすんじゃうよ!(T□T)

メイク用品の粉のゴールドと違って、
模型用塗料のゴールドの色は、
シルバー+黄色みたいな感じ。
これまで透明感を大切に作ってきた下地が、
メタリック塗料で濁ってしまわないか、
心配してしまいました。

いろいろな塗料のゴールドを、
メイクさんに確認していただきました。

じょいほび!アドバイザー玉さんの提案で、
微細金属粒子を使用した、
スーパーゴールドを試すことに。


スーパーメタリック
スーパーゴールド 税込¥630 GSIクレオス

 
スーパーゴールドの沈殿した粒子だけをとりだして
塗装します。
ええい、失敗したらその時だ!

金属の粒子が集中しないように、
エアブラシの中の塗料をしっかり攪拌して、
慎重に塗装します。

耳の横を始点に、エアブラシを円を書くように動かし、
あごの下に向けて、ふわっと色を乗せていきます。

む、難しいな……。

こちらが作業後の写真。上の写真とは違う、
グロッシーなツヤが加わりました。

噴きすぎた!粒子が固まってしまいくすんだ!という場合は、
上からベースの色を少し重ねると目立たなくなります。



ぎらっとした、メタリックの色をプラスして、
角度を変えたときにパールとは違うツヤと
情報量を増やします。シャープになった!
 
肌色の塗装 さらにもうひと手間

シェーディングが終わって、ちょっと休憩。

顔のパーツをにまにま眺めていたら、
メイクさんが一言。

「まぶたに血の通った生っぽさが欲しいですね〜」

Σ( ̄□ ̄;) まだやる気かっ?!

というわけで、ブレインのメイクさんに従い、
ワタクシは手を動かしますよぉ〜。

シェーディングで使った112+19の塗料に、
Mr.カラー119 RML79 サンドイエローと、
蛍光ピンクを基調とした自作のピンクを加えた
ピンクブラウンをまぶたに塗装します。

カラーは上の写真を参照↑
後でアイシャドウなども塗装で表現するので、
色がついたかつかないかくらいにとどめておきます。

写真では出ないかも…と承知で行った作業ですが、
まぶたの上のかすかなピンク
お分かりいただけますでしょうか?

……わかりづらいよね〜(T□T)

作品はすでにヤマシロヤさんに展示してありますので、
お近くの方は実物をぜひ見に来てくださいね。


とりあえず、ベースの塗装はここまで!
 




メイクさん指導によるベース塗装、
いかがでしたでしょうか?

フィギュアでも、メイクでも、
カラーリングや、立体感を強調させる方法など、
フィギュア塗装と共通する部分も数多くありました。
女性の私でも普段意識したことのない作業、
ポイントが多数出てきてビックリしっぱなし!

じょいほび!をお手伝いいただいている、ヤマシロヤスタッフ、モデラー店員玉さんは、終始驚かれていました(笑)


作業公開日は、たくさんの方が足を止めて見学してくださいました。
色や手の動きなどライブで見ていただくのが一番わかりやすいんじゃないかと…。来てくださった方ありがとうございます!
次回はアイシャドウなどのポイントメイクや、
部分塗装を行います。

メイクさんのコラボレーションによって、
一体どんな作品に仕上がるのでしょうか?

ガレージキット(レジンキット)製作編
第6回 フィギュアの塗装をしよう!その2 に続く!


協力/西田聡子

(C)西E田・コアマガジン
 
 


 
 
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